Copyright (C) Pengfei Li & Kenneth M. Merz Jr. 2015
leapにおけるイオン認識
非結合モデルは、周囲の分子と非結合相互作用(例えば、静電的とVDW相互作用など)のみを持つ粒子として金属イオンを扱う。イオンの電荷は、整数でその酸化状態を表す。アンバー力場では、12-6レナード·ジョーンズ(LJ)イオンの非結合モデルに必要な2つのパラメータのみがある。一方、12-6-4非結合モデルには一つのC4項があり、ParmEdを使用して追加される。$AMBERHOME/dat/leap/lib /ディレクトリにあるatomic_ions.libファイルは非結合モデルの原子イオンのさまざまな種類の電荷及び原子タイプを定義するために使用された。そのことをはっきりさせるには、atomic_ions.libファイルを生成するために使用されているatomic_ions.cmdファイルを確認することができる($AMBERHOME//dat/leap/libディレクトリにもある)。一般的に、AMBER力場では、原子イオンは、原子タイプとしてその元素名と電荷数を持っている 。例えば、ナトリウムイオンは原子タイプとしてNa+、塩素イオンは、原子タイプCl-、亜鉛イオンは原子タイプZn2+、マグネシウムイオンは、原子タイプMg2+、第二鉄イオンは、原子タイプFe3+などを有している(これが、結合モデル中のイオンのために使用される原子タイプは2文字の原子タイプを持っている必要がある)。ここでは、原子イオンがleapプログラムで認識される方法を示すために、一例として、亜鉛イオンを扱う。
PDBファイル中のイオンは、通常、 "HETATM"として扱かう。:
HETATM 4307 ZN ZN A1612 3.200 15.868 15.157 0.50 15.29 ZN |
この行には三つの "ZN"(第3、第4で、最後の列)シンボルをあるが、それらは異なる意味を持っている。行は、残基ZN(4列目)に原子ZN(3列目)があり、その元素はZN(最後の列)であることを意味する。
atomic_ion.cmdファイルを確認すると、(それぞれの行の後に追加の説明付き)次のような行がある。:
i = createAtom ZN Zn2+ 2.0 #Create an atom i with atom name ZN, atom type Zn2+ and charge 2.0 set i element "Zn" #Set element of atom i as Zn set i position { 0 0 0 } #Set coordinates of atom i as {0, 0, 0} r = createResidue ZN #Create a residue r with residue name ZN add r i #Add the atom i into residue r ZN = createUnit ZN #Create a unit ZN with unit name ZN add ZN r #Add the residue r into unit ZN saveOff ZN ./atomic_ions.lib #Save information of unit ZN into atomic_ions.lib file |
leapを使って(入力ファイルにこれらの行を追加し、tleap -s -f INPUT_FILEを実行する)これらのコマンドを実行した後で、電荷2.0、原子タイプZN2、原子名ZN+、ZN残基を含むZNユニットは、ライブラリファイルatomic_ions.libに保存される。
leapで「atomic_ions.lib loadoffコマンドを使用した後、上に示したフォーマットを有する亜鉛イオン(複数可)を含むPDBファイルをロードすると、(PDBファイルとlibraryファイルの残基名と原子名が一致するので)leapがZNイオン(複数可)を自動的に認識し、Znイオン(複数可)に電荷2.0の原子タイプZN2+を割り当てる。
次に、Zn 2+の原子タイプのLJパラメータをロードする。$のAMBERHOME/dat/leap/ディレクトリに利用可能な異なるパラメータセットを含む各種パラメータファイルがある。関連ファイルの説明はAmber force fields-->Molecular mechanics force fields-->Ionsセクションにある。
現在のバージョンでは、atomic_ions.libファイルの利用可能なほとんどのイオン(すべてではない)は、PDBの命名方式と互換性がある。その中に目的のイオンがない場合は、上に示したスタイルに合わせて自分でロードライブラリを作成し、イオン(複数可)への荷電と原子タイプの割り当てるためにleapへロードすることができる。