Copyright (C) Pengfei Li & Kenneth M. Merz Jr. 2015

AMBER Advanced Tutorial 20

Metal Ion Modeling Tutorial

By Pengfei Li and Kenneth M. Merz Jr.

このチュートリアルでは、AmberToolパッケージを用いてタンパク質や核酸中の金属イオンの幾つかのモデリング方策を記述する。

Introduction:

Protein Data Bankにあるほぼ40%のタパク質の構造はメタルイオンを含んでいる。それらは構造でも、生物の代謝過程中の触媒過程や電子伝達過程で重要な役割を担っている。

MDシミュレーションにおいて、タンパク質システム中のメタルをモデル化するための方法が複数ある。例えば、結合モデル[1] 、非結合モデル[2]、カチオンダミイ原子モデル [3] などである。結合モデルはそのメタルイオンとリガンドの相互作用を結合、アングル、ダイヘドラル、静電気、ファンデルワールスの項で扱う。 これらのパラメーターはQM calculation、もしくは実験結果がある場合は用意に得ることが出来る。非結合モデルではメタルイオンとタンパク質の相互作用は静電気とファンデルバールス項でのみ扱われる。カチオンダミー原子モデルではメタルイオンと周囲の残基の間には模擬的結合を配置し、より洗練された静電モデルを提供する。

これらのモデルはそれぞれ、それらに伴うプラス面とマイナス面を持っている。例えば、結合モデルは配位数(CN)の変化、 リガンド交換プロセスをシミュレートすることができない。非結合モデルは、質的に共有 金属サイト上の結合項や整数荷電数が無いので 定性的に電子移動効果をシミュレートする。カチオンダミー原子モデルは、多くの経験的なパラメータが必要とされるので 複雑なパラメータ化プロセスを必要とします。例えば、金属イオンの電荷とVDWパラメータと同​​様に、各サイト上の電荷とVDWが必要とされる。

ここではユーザーのニーズに対して結合・非結合の、異なるモデリングの方策のチュートリアルを提示する。:

結合モデル

 それぞれのモデルは付随するプラス面とマイナス面を持っている。例えば結合モデルは配位子の結合数変化やリガンド交換プロセスをシミュレート出来ない。非結合モデルは、共有結合やその結合項の欠如および金属サイト上の整数の電荷による電子伝達効果を定性的にシミュレートする。カチオンダミー原子モデルは、多くの経験的なパラメータを必要とするので複雑なパラメータ化プロセスを必要とする。たとえば、金属イオンの電荷とVDW(ファンデルワールス項)のパラメータが必要とされるだけでなく、各サイト上の電荷とVDWも必要である。。 CNスイッチング処理のリガンド交換は、プロテインの金属サイトで必ず起こるが、水溶液中の金属イオンで 観察されるものに比してタイムスケールがはるかに遅い。例えば、溶媒和した金属イオン複合体に関して、+2価金属イオンに対する 第一の溶媒和シェルの水分子の滞留時間は、5×10-4から 1.3×10-4マイクロ秒(μs)の範囲であり +3価金属イオン対しては0.05 μs から3.2×1013 μsである。多くのタンパク質中の金属サイトの第一配位シェルにおけるリガンドの滞留時間は、他の要因中におけるサイトの構造化のために遥かに長い。典型的な MDシミュレーションのタイムスケールは(2014年頃)ナノ秒またはマイクロ秒レベルであり、結合モデルは 、用いられる時間スケールでは配位子交換が起こらないプロセスを研究するには効果的なアプローチである。

1. Metal Center Parameter Builder(MCPB)

タンパク質(20の標準アミノ酸を含む)および核酸(5標準ヌクレオシドを含む)には、AMBER力場における標準ライブラリおよびパラメータファイルがある。タンパク質中の金属サイトはかなり異なるので、標準的な力場をパラメータ化することは非常に難しい。これらを考慮して、メルツの研究グループでマーティン·ピーターズ博士は、AmberToolsのモデリングツールキット++(MTK++)ソフトウェアパッケージにメタルセンターパラメータビルダー(MCPB)を開発し加えた。それは、タンパク質システムにおける金属部位のための結合モデルのパラメータ化プロセスを容易にする半自動化されたワークフローを提供している。その使用法について詳細に説明する。

2. MCPB.py (Needs AmberTools 15 or Higher)

MCPB.pyはMCPBのpythonバージョンである。それではモデリングするのに最適な数のステップを使うようにワークフローを最適化している。それはAmberTools 15かそれ以上のバージョンで使用可能である。それは Michigan State UniversityのMerz research groupにいるPengfei Liにより開発された。

MCPB / MCPB.pyを用いたイオンモデリング:に移動するには、ここをクリック:

非結合モデル

1. 12-6 レナード·ジョーンズ(LJ)非結合モデル

12-6 LJ非結合モデルは、そのシンプルなフォルムと優れた移動性によって広く使用される。Li等は、周期表中の1価から4価わたる60以上のイオン対して12-6モデルをパラメータ化している。 [2] [5][6] これらのパラメータは、現在のAMBER力場で利用できる(詳細についてはマニュアルのAmber force fields-->Molecular mechanics force fields-->Ionsセクションを確認する。 )

2. 12-6-4 LJ型非結合モデル

Liとメルツは、12-6-4 LJ型nonbonedモデルを二価金属イオンのために提案しパラメータ化した[4]。 AC4項は、イオン-誘導双極子相互作用を表すため12-6 LJ非結合モデルに追加され、r-4に比例している。後でLi等は、一価[5]、三価[6]、 四価t[6] のイオンのための12-6-4モデルをパラメータ化した。。それにより12-6-4モデルが混在システムのための優れた応用特性と相まって、いくつかの実験値(HFE、IODおよびCN)を再現することが同時に示された[4][5][6]。 Pantevaらの最近の研究で、SPC/E水モデルと組み合わせ12-6-4モデルが17種類の非結合モデルの中ではMg(II)に対して最良のモデルを予め形成していることを明らかにした[7]

非結合モデルを用いたイオンモデリングに移動

カチオンダミー原子モデル

ユーザーはここでチュートリアルを確認できる。:

亜鉛イオンのためのカチオン性ダミーAtomモデルのチュートリアルに移動


References:

[1] Martin B. Peters, Yue Yang, Bing Wang, László Füsti-Molnár, Michael N. Weaver, and Kenneth M. Merz, Jr. "Structural Survey of Zinc-Containing Proteins and Development of the Zinc AMBER Force Field (ZAFF)", J. Chem. Theory Comput., 2010, 6, pp. 2935-2947

[2] Pengfei Li, Benjamin P. Roberts, Dhruva K. Chakravorty, and Kenneth M. Merz, Jr. "Rational Design of Particle Mesh Ewald Compatible Lennard-Jones Parameters for +2 Metal Cations in Explicit Solvent", J. Chem. Theory Comput., 2013, 9, pp. 2733-2748

[3] Yuan-Ping Pang "Successful molecular dynamics simulation of two zinc complexes bridged by a hydroxide in phosphotriesterase using the cationic dummy atom method", Proteins: Struct., Funct., Bioinf., 2001, 45, pp. 183-189

[4] Pengfei Li and Kenneth M. Merz, Jr. "Taking into Account the Ion-Induced Dipole Interaction in the Nonbonded Model of Ions", J. Chem. Theory Comput., 2014, 10, 289-297

[5] Pengfei Li, Lin F. Song and Kenneth M. Merz, Jr. "Systematic Parameterization of Monovalent Ions Employing the Nonbonded Model", J. Chem. Theory Comput., 2015, Article ASAP

[6] Pengfei Li, Lin F. Song and Kenneth M. Merz, Jr. "Parameterization of Highly Charged Metal Ions Using the 12-6-4 LJ-Type Nonbonded Model in Explicit Water", J. Phys. Chem. B, 2015, 119, 883-895

[7] Maria T. Panteva, George M. Giambasu, Darrin M. York "Comparison of Structural, Thermodynamic, Kinetic and Mass Transport Properties of Mg2+ Ion Models Commonly Used in Biomolecular Simulations", J. Comput. Chem., 2015, Accepted