初期モデルを構築後、そのモデルが全て妥当であるかを検討する。 "ambpdb" コマンドで下記のようにしてpdbファイルを作る。:
日頃使用しているビューワーでpdbファイルを検討する。 例えばSwissPDB を用いると下記のような図が見られる。このwt1mg.parm、wt1mg.crdは当然solvatedである。ややこしいのでwt1mg_wat_cl.crdとして扱う。
SwissPDB Viewerには "Select"メニューの中に"aa making clashes" というオプションがある(Mac版では,”Residues making clashes”) 。このコマンドは近くのアミノ酸残基と不適当なコンタクトをしている残基を区別する。クラッシュを見るためには "Color" メニューから "selection" を選択する。下記図のように見える。(cp12にはクラッシュを起こす残基がない?SwissPDB Viewerでsolventを表示するにはPrefsでLoading Protein からIgnore solvent (WAT SOL HOH)のチェックをはずさないと水の表示が出来ない。)
青い色で示された残基が不正なコンタクトをしている部分である。
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cp12を水ボックスで囲んだ図とswiss pdb viewerで水を全て取り除いた図
分子動力学シミュレーションをスタートする前に不適当なコンタクトは取り除いておく必要がある。この不適当なコンタクトを残したままで分子動力学を始めると、その領域のエネルギーが不当に高くなりシミュレーションをクラッシュさせたり trajectory を非現実的な方向へ導くことになる。
この不適当なコンタクトはエネルギー最小化を行うことで除くことが出来る。もし明らかな不適当なコンタクトが無くても構造を少し緩和させるために短期間のエネルギー最小化を行うことが望ましい。
エネルギー最小化は2ステージに渡り行うことになる。最初のステージではタンパク質と Mg2+を固定し、水分子のエネルギーのみを最小化する。下記はこのステージのコントロールインプットファイルである。
これらのコントロール情報をmin.inとして保存し、 sanderを下記のように実行する。:
行末にある"-ref" オプションに注意する。このオプションは普通必要はない。このケースでは、拘束条件下でエネルギー最小化を行うので(ntr = 1) -ref オプションが必要であり "min_wat.in" ファイルで記述した選択残基の位置をsander がmapするのに必要である。 "wt1mg_wat.rst" はtleapで作成した最後のstart ファイルと同じである。従って もとのwt1mg_wat.crd を wt1mg_wat.rstにコピーすればよい。(同じファイルをコピーする理由は単にバックアップのためで、そのまま wt1mg_wat.crd を使ってもよい。)
imin(以下のinput fileにはiminの記述が無い場合があるが、初期値が0でありMD計算を行う)
= 0 (default) Run molecular dynamics without any minimization.
= 1 Perform an energy minimization.
本コマンドはsander にコントロール入力ファイルとして "min_wat.in"、システムパラメーターファイルとして wt1mg_wat.parm7 を、 coordinate入力ファイルとして wt1mg_wat.crd を使用させている。 wt1mg_wat.rstは restart ファイル 、 wt1mg_min_wat.outは 出力ファイルである。計算終了後、下記のように出力がされているかをチェックする。(原著ではwatが入れてないがこれ以降この表示にかえる。)
計算は数分かかるので休憩をとることもよい。(と書いてあるが今のパソコンだと2000step計算させても3分ぐらいしかからない)